生き残りの道を探せ

※下記は経営者通信12号(2011年5月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
 

―海外進出を検討しているかどうかに関わらず、事業承継の問題を抱えている中小企業も多いと思います。どのように後継者を育てればいいのでしょうか。

大前:後継者の育て方は簡単ですよ。後継者候補を3人選んで、別々のミッションを与えればいいんです。「既存事業の売上を伸ばす」、「コストを下げる」、「新規事業を生み出す」、この3つです。新規事業を任せるのは、若手がいいでしょうね。そして、5年後に結果を検証し、最も優れた成果を出した人材に社長を任せる。もちろん人柄も考慮の対象になりますが、何より結果を出すことが肝心です。そして、残りの2人は経営陣に残し、自分は引退する。会長職などに残って、いちいち経営に口を出してはいけません。この引き際が肝心です。

―なぜ後継者候補が3人も必要なのですか。

大前:1人の人間が売上を上げて、コストも下げて、イノベーションまで起こすなんてムリ。だから、それぞれ3人に任せるのです。基本的に、既存事業を改善して伸ばしていく能力と、新規事業を創り出して突破する能力は別。すべての能力を兼ね備えているのは、よほどの天才か創業経営者ぐらいです。

―もし有力な後継者候補がいない場合、どうすればいいのでしょうか。

大前:モデルケースのひとつはラオックスです。つまり、外資に買収してもらう。多くの場合、外国企業の強みはスピードと資金力、日本企業の強みは技術と経験です。こういった互いの強みをうまく融合させれば、さらなる成長が可能になります。ちなみにラオックスの場合、外資に買収されていなければ倒産していたかもしれません。倒産して従業員を路頭に迷わせるぐらいなら、買収された方がよっぽどいい。ただし、相手企業を見極めなきゃダメですよ。まずは取引先として付き合って、「信頼できる」と判断した後、資本を入れてもらうべきです。

―最後に、経営者へのメッセージをお願いします。

大前:経営者には“旬”があります。完全燃焼しようと思えば、経営者の旬は10年間。もし自らのピークを越えて、年中ベストコンディションで経営できなくなったと感じたら、一刻も早く後継者を探すべき。日本には後継者のいない中小企業が40%もあると言われています。死ぬまで会社経営に身を捧げる必要はありません。会社経営と同じくらいの精力を後継者探しにあてるべきです。経営は人がすべてです。もし後継者がいなかったら、自分の代で店じまいした方がいい。従業員に苦労を強いながら、経営を続ける意味はありません。店じまいは恥ではなく、勇気ある決断です。利益の出ているうちに、会社を売却してもいい。ハッピーリタイアして、幸せな余生を送ってください。
  
プロフィール大前 研一(おおまえ けんいち)
1943年、福岡県生まれ。早稲田大学を卒業後、東京工業大学大学院で修士号を取得。その後、マサチューセッツ工科大学大学院で博士号を取得。株式会社日立製作所を経て、1972年にマッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を歴任する。1994年にマッキンゼー・アンド・カンパニー・インクを退職。同年、英国の経済誌「エコノミスト」にて、現代社会の5人のグールー(思想的指導者)に選ばれる。2002年に中国遼寧省および、天津市の経済顧問に就任。2005年に本邦初の遠隔教育法によるMBAプログラム(現在のビジネス・ブレークスルー大学大学院)を開講し、学長に就任。現在は株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長、株式会社大前・アンド・アソシエーツなどの創業者兼取締役、アカデミー・キャピタル・インベストメンツやIDTインターナショナルの取締役などを務める。日本国内はもとより海外での評価も高く、経営や経済に関する多くの著書が世界各地で読まれている。
 

会社概要

■設立/1998年4月 ■資本金/14億7,752万円
■売上高/19億2,640万円(2010年3月期) ■従業員数/67名(2010年3月31日現在)
■事業内容/
○マネジメント教育事業
○マネジメントコンテンツのプロバイダー事業 ○通信衛星を利用したデジタル放送の委託放送事業
○遠隔教育システムコンサルタント及びサービスプロバイダー
○ビジネス・ブレークスルー大学運営
○ビジネス・ブレークスルー大学大学院運営
○ビジネス及びマネジメント専門コンテンツの企画・制作
○ビジネス及びマネジメントE-learning事業
○通信衛星を利用したデジタル放送の委託放送事業
○インターネット放送、衛星放送によるコンテンツプロバイダー

※このサイトは、取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。
ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(株式会社幕末)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。

株式会社幕末