※下記は経営者通信6号(2010年5月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
―御社は統合業務システムの開発・提供を通じて、数多くの成長企業をサポートしてきました。成長企業が陥りがちな問題点を教えてください。
川田:利益管理を怠りがちなことです。多くの成長企業は、商品力を武器にして売上を伸ばしていきます。そして、売上が伸びれば自動的に利益も伸びるので、自然と売上重視の組織風土が生まれます。また"どんぶり勘定"でも会社が成長するので、利益管理を怠りがちになるんです。しかし、今回のような突然の不況が訪れた時、そのツケは回ってきます。そもそも、自社は何で儲かって何で損をしているのかが分からない。部門単位や案件単位の収益が把握できていない。だから自社の業績が悪化した時、細かい検証と改善ができないわけです。このような状況に陥った後で利益管理の仕組みを導入しても、もはや手遅れです。すでに売上重視の風土が組織に根付いており、なかなか利益管理の仕組みが定着しないからです。いきつくところは、オフィスの縮小移転、ボーナスのカット、人員削減...。次第に会社の雰囲気も悪くなり、優秀な人材が離れていってしまいます。
―今回の不況で、実際にそのような状況に陥った企業もたくさんあるでしょうね。そもそも利益管理とは「粗利」を管理すればよいのでしょうか?
川田:いえ、「粗利」の管理だけでは不十分です。「営業利益」を管理しなければ、正しい経営判断ができません。たとえば当社がヒアリングした企業の中に、こんな事例がありました。A社は2つの事業を展開しており、第1事業部の粗利率が高かった。そのため、A社は経営資源を第1事業部に集中投下していたんです。しかし、決算時期に営業利益を算出したところ、重大な事実が発覚しました。なんと第1事業部は黒字スレスレ。第2事業部の方が、営業利益率が高かったんです。その理由は間接部門の人件費差にありました。
―「営業利益」まで算出しなければ、誤った経営判断を下す危険性があるわけですね。では、どうすれば自社の利益を最大化できるのでしょうか?
川田:正確な原価計算をベースにした利益管理を行うことです。その第一歩として、データの重複入力を無くさなければいけません。見積書や請求書の情報を始め、顧客やサプライヤーの情報、従業員の労務時間など、あらゆるデータを全社で一元管理する。
このシステムを社内に構築する必要があります。正しいデータが1ヵ所に集約されていれば、あとはデータを様々な角度から切り出せばいいだけ。たとえば、案件単位、社員単位、時間単位の利益を算出する。その際、「粗利」ではなく「営業利益」を指標にすべきです。
次に、全社員に数字を公開することが重要です。自分自身の利益額や生産性が数字で見えれば、社員一人ひとりが利益を意識しながら仕事をするようになります。そして現場社員の意識レベルが上がれば、「売上重視の組織」から「利益重視の組織」に脱皮できます。
ただし、細かい利益管理にはITシステムが必要です。エクセルでの原価計算は難しいし、手間がかかってしょうがない。業務単位の労務時間を集計しても、売上や間接費にひもづけるのは難しい。だから、当社が基幹業務システム「ZAC」を開発したわけです。
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―しかし、基幹業務システムの導入には数千万円の投資が必要だと思います。果たして投資金額以上の効果が得られるのでしょうか?
川田:細かい利益管理を行えば、計画的に利益を生み出すことができます。そもそもZACの料金は業界相場の約1/3。小規模な組織であれば、初期費用300万円、月額25万円程度から導入が可能です。利益管理が不十分な企業は、投資金額以上の効果が得られると思います。
―ZACを導入することで、具体的に何が実現できるのですか。
川田:案件単位の利益管理がリアルタイムで可能になります。だから、経営者が知りたい数字をいつでも知れるようになる。いちいちマネージャーに「先月は思ったより利益が出なかったけど、何が悪かったのかな?」なんて聞く必要がなくなるんです。そして経営判断のスピードと精度が増し、計画的に利益を生み出せるようになります。他には、管理部門のオペレーションリスクが低下しますね。請求書の未発行、売掛金の未回収、買掛金の未払いなど、管理部門のミスが激減する。管理部門の業務効率が向上するので、人件費の抑制にもつながります。今後も当社はZACの改善を繰り返し、クライアントの継続成長をサポートしていきます。
社長プロフィール ■株式会社オロ 川田篤(かわた あつし)
1973年、北海道生まれ。1997年に東京工業大学を卒業。1999年に有限会社オロを設立し、代表取締役に就任。2000年に株式会社に組織変更。同社は設立以来、11期連続で黒字経営を続けている。