利益管理を徹底し、自社の利益を最大化する

高橋廣司氏は15年間に渡り、大手監査法人で20社以上の上場準備を支援してきた。その経験の中で1500社以上の上場準備企業の※ショートレビューを精読し、成長企業の共通点を独自に分析。そこから分かったのは「継続的に成長する企業は、管理体制から新たな利益を生み出している」ということだった。高橋氏はその利益を「第2の利益」と呼び、セミナーや講演を通じて経営者に伝えている。今回は高橋氏に「第2の利益」を生み出す方法を聞いた。

―高橋さんは「第2の利益」という概念を提唱しています。「第2の利益」とは何ですか?

高橋:まず前提として、自社の事業基盤(ビジネスモデル)から生まれる利益のことを「第1の利益」と呼びます。そして「第2の利益」とは、管理体制の整備によって新たに生まれる利益のことです。具体的には、購買管理による仕入れや外注単価の削減、与信管理による貸し倒れの防止、販売管理による戦略的な新規開拓などが挙げられます。

―どうすれば「第2の利益」を生み出せるのでしょうか。

高橋:売上ではなく、粗利を管理することです。つまり短期利益計画を策定し、予実管理のPDCAサイクルを回すんです。このPDCAサイクルを効果的に回すためには、正確な原価計算を行い、粗利を様々な軸で切り分ける必要があります。部門別、クライアント別、商品別、営業マン別、案件別に粗利を分析し、自社の収益構造を可視化します。そして、利益を生み出している部分に自社のリソースを集中的に注ぎ込むわけです。これらの作業を正確かつスピーディーに行うには、システム導入は避けられないでしょうね。

―「第2の利益」を生み出す方法について、もう少し具体的に教えてもらえますか。

高橋:では粗利統制についてお話しします。粗利統制は「事前」と「事後」の2種類に分けられます。まず「事前」の粗利統制とは、受注前に商品の粗利を管理することです。ただし、「最低15%の粗利を確保する」といった大雑把な管理ではいけません。個々の営業マンは受注するために、競合に勝てる最低粗利率で受注しがちだからです。つまり、粗利15%の受注が多発してしまう。この問題を解決するには、粗利率の変更をルール化する必要があります。たとえば、毎週の営業会議で全営業マンの営業情報を共有し、マネージャーが個別に細かな指示を出す。マネージャーが経営視点でクライアントの重要度を判断し、クライアント毎に粗利率を設定するわけです。そして「事後」の粗利統制とは、確定した粗利を検証することです。正確な粗利は事後的に計算しなければ分かりません。商品・サービスの提供後に追加原価などを計算し、受注前後の粗利率を比較・検証します。そして粗利率が変動した理由を洗い出し、改善を行う。その際に気をつけるべき点は、売上原価に間接費を含めること。多くの会社は売上原価を直接費だけで計算し、粗利率を計算しています。だから、利益計画が狂うわけです。

―他に気をつけるべき点はありますか?

高橋:新規顧客の開拓(以下、新規開拓)の制度設計です。新規開拓は1件当たりの営業コストが高い。ですから、新規開拓の価値は初回案件の粗利だけで計ることはできません。新規開拓の場合は大局的な経営判断のもと、粗利率の設定を低くすべきでしょう。さらに新規開拓の専門部隊を編成した上で、新たな評価体系やインセンティブ制度を設計する必要があります。実は、私が言っていることは当たり前のことばかりなんです。でも、この当たり前のことができていない企業が非常に多い。これは1500社以上のショートレビューを精読する中で痛感しました。これからも私は「第2の利益」というキーワードを通じて、企業の管理体制の整備をサポートしていくつもりです。

※ショートレビュー:監査法人が株式公開準備企業と監査契約を締結する前に、その企業の実態を短期間で調査すること。または、その調査書類。調査の内容は財務諸表の会計処理に関する妥当性や内部統制の整備運用状況など。



プロフィール  新日本有限責任監査法人 高橋 廣司(たかはし ひろし)
1949年、東京都生まれ。明治大学を卒業後、公認会計士として大手監査法人で株式上場関連の業務を中心に活動。2007年からは新日本有限監査法人の新規事業の開発部門を歴任。現在は同監査法人の常務理事を務め、監査統括部-事業推進室に所属している。

会社概要

◆社名/株式会社オロ
◆設立/1999年1月
◆資本金/3,000万円
◆売上高/11億5,500万円(2010年3月期)、16億7,000万円(2011年3月期見込み)
◆従業員数/126名(2010年4月1日現在)
◆事業内容/ビジネスソリューション事業、インターネットソリューション事業

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TEL

03-5843-0653 (株)オロ

URL http://www.oro.co.jp

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