※下記は経営者通信3号(2009年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
―この不況でも、中小企業は新卒採用に困っています。大企業に比べて応募者が少なく、内定辞退率も高い。限られた予算の中で、どうやって新卒採用を効果的に行えばいいのでしょうか?
笹田:まずは母集団形成(応募学生数を増やすこと)をやめることです。たとえば中小企業が5名の学生を採用する場合、今までは数百名、多い会社では1000名以上の学生から応募を集めようとしていました。それだけ応募があれば、会社説明会にも100名以上の学生が集まります。すると、社長は勘違いしてしまうんです。ウチみたいな会社にこんなに集まってくれた。採用は順調に進んでいると。 しかし、その認識が大間違い。中小企業の場合、いくら学生数を集めても志望度の高い学生はわずかです。実際、選考辞退や内定辞退が続出します。それゆえ、母集団形成よりも“自社が採用したい学生”をピンポイントで集めた方が効率的なんです。極端に言えば、志望度が高い学生を5名集めれば、5名採用できるわけです。つまり“自社が採用したい学生”はどのような人物なのかを徹底的に明確化し、それに合った採用活動を行うべきです。
―具体的にどのようにアプローチすればいいのですか。
笹田:大きく分けて3つのステップがあります。1つ目のステップは、採用ターゲットを明確化することです。そのためには「どんな学生を採用したいか」ではなく、「どんな新入社員が自社に必要か」を明確にすることが重要です。たとえば、当社では3年前「私と同じ経営者目線で一緒に働ける新入社員」が必要だと考えました。必要とする社員像が明確になると、自ずと採用ターゲットも明確になります。当社では将来の独立を目指す学生や、いずれは家業を継ぐ学生を採用ターゲットとしました。
その結果、当社が求める人材像に合致する新卒2名を採用できました。実際、2名とも会社経営者の長男でした。このように必要な社員像を明確にすることで採用ターゲットも決まり、採用活動全体の方向性を決めることができるのです。
―2つ目のステップを教えてください。
笹田:就職サイトや会社説明会で、自社の実態と今後の方向性を伝えることです。たしかに大企業と比較すると、中小企業は不利な要素が多い。しかし、少し視点を変えれば、マイナス要素をプラス要素に変えることもできます。たとえば、当社は3年前まで私の自宅がオフィスでした。そのマイナス要素を「新しいオフィスを一緒に決められます」とプラス要素として伝えました。また社員数も私ひとりでしたが、それを「先輩社員はひとりもいません。幹部社員募集」と伝えました。このように今後の方向性を明示すれば、学生の応募総数は減るかもしれませんが、採用ターゲットとなる学生からの応募数は逆に増えるんです。