※下記は経営者通信3号(2009年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
―不況の影響で外食マーケットが縮小を続ける中、御社の外食事業は順調です。
実はワタミにとって、不況は一種の追い風でもあります。なぜかと言うと、不況になると、お客様は居酒屋 を厳しく選別するようになる。そうなると、ワタミは強いんです。ワタミでは食材の安心・安全にこだわっています。野菜料理には、自社 農場「ワタミファーム」で採れた有機野菜のみを使っている。
すると、今までなら「居酒屋ならどこでもいい」と思っていた お客様が「せっかく大事なお金を使うなら、有機野菜を使っているワタミに行こう」とワタミを選んでくださる。さらにお客様は味や接客 の違いまで、しっかり見極めてくれます。ですから、外食マーケットが縮小しても、ワタミはシェアを拡大できるんです。おかげさまで、 不況で低迷していた外食事業の業績も今年3月に底を打ちました。
―この不況を乗り切るため、現場ではどんな工夫をしていますか。
最近では"串のない焼き鳥"をメニュー開発しました。一般的に「焼き鳥は串に刺してあるもの」という固 定概念があると思います。しかし、ワタミの現場社員からこんな提案があったんです。「お客様の大半は焼き鳥の串を抜いて、箸で召し上 がっています。
ならば、そもそも焼き鳥を串に刺さずにお出ししたらどうでしょう。そしてお出しする際は、冷たいお皿ではなく、熱い鉄 板に乗せましょう。そうすれば焼き鳥が冷めにくくなり、お客様にアツアツのまま召し上がって頂けます」と。
たしかにお客様の視点に立って考えると、この提案は理にかなっている。そこで、すぐに採用し、今年2月から"串のない焼き鳥"を提供 し始めたわけです。お客様からの評判は良いですね。「食べやすくなったし、アツアツでおいしい」というお声を頂いています。
串のない焼き鳥
また、この"串のない焼き鳥"によって大幅なコスト削減もできました。串を刺す人件費と串の材料費を削減でき、原価が半分に減っ たんです。この"串のない焼き鳥"が生まれたのは、現場社員がお客様の視点に常に立ち、ゼロベースで新しい発想をしたから。不況を乗 り切る工夫というのは、現場社員がお客様の視点に立つことで生まれるんです。