※下記は経営者通信4号(2009年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
―なるほど。では、実際にどうすれば企業を継続的に成長させることができるのでしょうか?
必要なアクションは3つあると思います。1つ目は、明確な目標を掲げ、それをスタッフと共有すること。人間は、夢や目標がなければ元気が出ません。だから、まず経営者の“志”を具体化し、分かりやすい目標に落とし込む必要があります。そして、その目標をスタッフと共有する。H.I.S.の場合、「日本一の旅行代理店」という明確な目標に向かって、一致団結して突き進んできました。その結果、2005年度にJTBを追い抜き、単体の海外旅行取扱人数でNo.1になることができたんです。
2つ目は、あきらめずに継続すること。「継続は力なり」です。たとえば、1日で英会話をマスターすることは不可能です。しかし、毎日継続して勉強すれば、いつか英語が話せるようになるでしょう。あきらめて途中で投げ出してはいけません。プロスポーツ選手も同じです。彼らは毎日練習しているから上手いんです。先天的な才能よりも、継続的な努力が重要だと思います。
3つ目は、運を味方につけること。愚直に努力を続けても、運が悪ければ成功できません。どれだけ自社が頑張っても、取引先が倒産して連鎖倒産することもありますから。また、人や企業、そして“時代との出会い”には運の要素があります。まさにH.I.S.がそうでした。海外旅行のマーケットが拡大する“時代”に巡りあえた。この巡りあわせがなければ、H.I.S.はここまで成長できなかったと思います。
―運というのは、味方につけることができるのですか?
「運」という字には「運ぶ」という意味があります。だから、私は「運とは自分の力で運んでくるもの」だと考えています。運を味方につける方法のひとつは、運の良い人や企業と付き合うことです。運の良い企業とは、元気で伸びている企業。そんな企業と付き合っていると、自社も元気になってきます。できる限り、運の悪い企業とは付き合わない。運の悪い企業と付き合っていると、自社の運まで悪くなってきます。運の悪い企業とは、業績が悪化していたり、トラブルに巻き込まれている企業ですね。
ただし、長く経営をしていれば運の悪い状態に陥ることもあります。そんな時の解決策は、じっと耐えることです。嵐が過ぎ去るのを待つ。そうすれば、いつか必ず晴れ間が訪れます。また、他にも解決策はあります。それは思い切って環境をガラリと変えること。たとえばオフィスを移転する。その場所から思い切って離れる。ただし、中途半端に環境を変えるのは一番ダメです。環境を変えるなら大胆に動くべきです。
―最後に、経営者へのアドバイスをお願いします。
繰り返しになりますが、明確な目標をスタッフと共有し、あきらめずに継続すること。そして、運を味方につけること。その際、経営のバランスには常に細心の注意を払ってください。景気の良い時は、おごらず慎重に行動する。逆に景気の悪いときは、縮こまらず果敢に攻める。
またバランスという観点から考えれば、企業が“急”成長することは危険を孕んでいます。なぜなら、急成長するとバランスが崩れやすくなるからです。商品やサービスのクオリティが落ちたり、人材のマネジメントが追いつかなくなります。お金を借りすぎて、後で返せなくなることもある。だから反動が大きくならないよう、ゆっくりと着実な成長を目指してください。
- プロフィール■澤田 秀雄(さわだ ひでお)
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1951年、大阪府生まれ。1973年に旧西ドイツ・マインツ大学経済学部に留学。在学中に世界50ヶ国以上を旅行する。帰国後の1980年、新宿にて旅行会社(現:株式会社エイチ・アイ・エス)を開業。格安航空券の販売を柱に事業を発展させ、1995年3月に店頭公開。1996年、オーストラリアに「The Watermark Hotel Gold Coast」をオープン、会長に就任。また同年、スカイマークエアラインズ株式会社(現:スカイマーク株式会社)を設立し、1998年に国内航空業界への新規参入を果たす。1999年、協立証券株式会社の株式を取得し、エイチ・アイ・エス協立証券株式会社(現:エイチ・エス証券株式会社)の代表取締役社長に就任。2003年にはモンゴルAG銀行(現:ハーン銀行)の取締役会長に就任。2004年、エイチ・エス証券株式会社を大証ヘラクレスに上場させる。同年、株式会社エイチ・アイ・エスは東証一部に上場。現在は澤田ホールディングス株式会社の代表取締役社長、株式会社エイチ・アイ・エスの取締役会長の他、経団連理事、経済同友会幹事、アジア経営者連合会理事長も務める。

◆設立/昭和33年1月21日
◆資本金/122億2,331万2,500円(平成21年4月1日現在)
◆事業内容/グループ各社の経営の支配及び管理
◆連結子会社/エイチ・エス証券株式会社、ハーン銀行、株式会社エイチ・エスインベストメント、エイチ・エス債権回収株式会社、エイチ・エス・フューチャーズ株式会社
◆持分法適用関連会社/エイチ・エス損害保険株式会社、パワーアセットマネージメントリミテッド、株式会社外為どっとコム、九州産業交通ホールディングス株式会社、エイチ・エス・アシスト株式会社
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