DENTOU TIMES

東海塗装株式会社 代表取締役社長 奈良間 力

永続的に伝統を繋いでいく

東海塗装株式会社 代表取締役社長 奈良間 力

1872年、まだ日本にペンキが知られていなかった時代に創業した東海塗装。人々の安全を守るべく、国鉄の橋梁等の構造物やプラントの塗装工事等を業界の開拓者としてリードしている。140年を超える歴史の中で積み上げてきた技術力を持つ同社へ顧客からの信頼は厚い。「鉄部塗装(建物を塗装によってより強く美しくするという意味)=東海塗装」、そんな言葉が出てくるのも同社が長年、顧客の期待を上回る技術とサービスを提供し続けてきたからであろう。今では多くの人が観光に訪れる「東京タワー」を最初に塗装したのも東海塗装なのである。同社の5代目としてその歴史と伝統と引き継いだ奈良間社長に同社の社風や独自性、さらなる歴史を描く未来への期待を伺った。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
  • 社風
    若手が活躍する会社
    「若手が活躍する会社」それが同社の社風である。その背景にあるのが、奈良間社長の行った改革。奈良間社長の代表就任以前は平均年齢が54歳と、高年齢化が進んでいた同社だが、奈良間社長の代表就任後、社内に新しい風を吹かそうと、若手の採用に力を入れた。現在では、平均年齢が39歳まで若返ったという。奈良間社長は入社した若手社員を自ら食事に誘い、社員一人ひとりに向き合い、悩みを聞き、自ら提案することや発信することの素晴らしさを説いて回ったのだ。その結果、若手であっても、責任を持って、自分の意見が発言できる環境に変わり、若手社員の活躍の場も増えてきた。例えば、地域の開拓。千葉を開拓したいと社員から申し出があった際、手を挙げた社員を否定することなく受け入れ、支店長に就任させた。現在、千葉支店は好調であるという。奈良間社長が社員と向き合ってきた結果により、若手社員でも活躍できる同社の社風が形成されてきたのだ。
  • 独自性
    新しい技術の開発
    長い歴史の中で培った経験を生かし、新しい技術を開発する力を有している、それが同社の独自性だ。塗装とは、建物を長く維持していく上で重要な役割を果たしている。今日では、塗装の品質や性能に対する要求のレベルは日々上がり、多様化している。その状況下において、お客様の要求に応えていくために、同社は新しい技術の開発に力を入れているのだ。その中の一つとして、水中工法(建造物の中で水没している部分を塗装により保護し、寿命を延ばす)の新しいコーティング技術の開発に取り組んでいる。この取り組みは同社が長い歴史の中で培ってきた技術に加え、米国Underwater Engineering Services,Inc.(UESI)社と技術連携を行うことで、新しい技術として顧客に提供しようという試みだ。同社が積み上げてきた経験と他社の技術も組み合わせることで、より革新的かつニーズに沿った技術開発を行うことができるのだ。お客様に質の高いサービスを提供し続けるために、同社は日々技術革新を進めていく。
  • 展望
    土台を固め、永続する会社へ
    「会社を健全な状態で、次世代やそれ以降の世代に継承していきたい」、と奈良間社長は語る。健全とは、安定的な財務状況、そして社員が育つ環境があること。この思いの背景には、同社の歴史が関係している。同社は代々奈良間家が代表を務めている会社。先代は奈良間社長の兄であり、先々代は父である。代々紡がれてきた会社をしっかりと次世代やそれ以降に健全な状態で継承していきたい。そう思ったきっかけは、同社に戻ってくるきっかけでもある実母の言葉。「後継者がいなくなって、会社が無くなることがないように、後を引き継いでください」、と遺言に残されていたという。まだ同社に入社していなかった当時の奈良間社長は、同社を守り抜くと決心をした。健全な会社を継承していくためには、売上を倍にするという目標や新しい業界へのチャレンジではなく、現在の強みやその周辺分野に注力して活動をしていくこと。そして優秀な後継者を育てていくことがポイントだと奈良間社長は語る。奈良間社長は、次世代やその後の世代を見据えて、土台を作っていく。
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東京タワーの最初の塗装を担当
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明治5年から紡ぐ歴史
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過去の施工事例

奈良間社長が考える、未来への期待

―今後の発展のポイントを教えてください
今後の発展ポイントは「人」ですね。世界的に見ても、時代が変化していくスピードはとても早く、政治や経済も先行き不透明です。しかし、そのような環境でも、会社をしっかり守っていっていきたいです。弊社の次世代の社員には、会社の良い部分は引き継ぎ、時代に合わない部分には柔軟に対応し、先を見据えて会社を守ってほしいと思っています。そのために、今後はさらに「人」をどのように生かしていくかがポイントになります。人を大切にし、しっかりと育てていくこと。そして育った人がその時代の変化に対応して、弊社をさらに発展させることができると考えています。次世代にもそれ以降の世代にも、時代の変化に遅れず、流されずに、東海塗装の歴史を紡いでほしいと考えています。
―若手の採用に力を入れている貴社ですが、これから入社する方への期待を教えてください
弊社に入社する方々には、「素直な気持ち」を大切にしてほしいと思っています。学生時代は、自分が興味あることや好む物に触れている機会が多かったと思いますが、どんな会社に入っても、会社それぞれに独自の文化や風土があります。もしかしたらそれは、今まで触れたことがないが故に、理解ができず、避けてしまうかもしれません。しかし、それを素直に受け止めることで、自分自身の成長に繋がります。そのためには、周りと積極的にコミュニケーションを取り、多様な価値観を取り込むことが大切だと考えています。そのことから、弊社の社員はコミュニケーションを大切にしています。新入社員の皆さんにも、周りの社員と協力して、成長していってほしいと思います。
―奈良間社長が大切にしていることを教えてください
私は人とのご縁を大切にしています。良くも悪くも何事にも人が関わりますからね。折角のご縁なので、関わりを持った方々には何かお役に立ちたいと思っています。それは弊社の社員やその家族もそうですが、同業者も含みます。私は日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会の会長を務めていますが、商売の話は抜きにして、ご縁があるこの業界をより良くしていきたいと思い、会長の業務を全うしています。例えば、業界紙の取材を積極的に受け、業界の活性化に務めています。協会を活用し、協会に関係している企業が互いに情報を発信し合い、助け合いながら、試行錯誤していければ良いと思います。今後も人とのご縁は大切にしていきたいと思います。

KEYPERSON

東海塗装株式会社 代表取締役社長 奈良間 力

人を大切にし、人が育つ会社へ

東海塗装株式会社 専務取締役 奈良間 剛

創業以来、東海塗装は100年を超える歴史紡いできた。同社の後継者となるのが、今回話を伺った奈良間専務だ。奈良間専務が同社に入社をしたのは約8年前。奈良間専務は入社以来、主に文化・風土改革と原価管理を進めてきた。文化・風土改革としては、社内活性に力を入れ、原価管理では数値の徹底的な見える化を推進した。例えば、社内活性の一環として、バーベキューを実施し、若手とベテランのコミュニケーションを円滑化させる取り組みを行うことや、原価管理においては会議の資料ややり方を工夫することで社員の意識を変革するなど、数々の改革が積み重ねている。改革の陣頭指揮をとった奈良間専務に、現在のやりがいや同社の今後の展望等、様々な話を伺った。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い
  • 入社理由
    代々受け継いできた家業を守りたい
    「東海塗装を守っていきたい」、そう思い、入社を決意したという奈良間専務。前職、外食大手企業で働いていた奈良間専務は、跡継ぎとして同社に戻るという選択肢はなく、自身で経験を生かして飲食店を持つという夢を持っていたが、それに勝る動機によって同社へと戻ることを決意したという。父である奈良間社長の、「健全な会社を次世代、さらにはその先へ継承していきたい」という強い思い、さらには奈良間専務の祖父であり、同社の先々代にかわいがってもらった幼き日々の思い出だ。祖父、父と受け継がれてきた同社を自分も守っていく、その強いを持ち、奈良間専務は同社へ入社したのだ。前職時代に原価管理や人員調整を行っていた経験から、同社でもその知識や経験を活用。人員配置においては、社員の潜在的能力を生かすため、適材適所を見出すことを意識したという。社員の特性を生かした人員配置の結果は数値として現れ、業績も好調だという。奈良間専務の挑戦はまだ始まったばかり。代々受け継いできたDNAを背景に、さらなる躍進を続けていく。
  • やりがい
    結果となって見える、改革
    「結果が出る、見えることがやりがい」、と奈良間専務は語る。これまで数々の改革を社内において実行してきた奈良間専務。その行動一つ一つには目的が存在する。その目的がしっかりと結果に表れること、それが奈良間専務のやりがいなのだ。例えば、原価管理。利益をさらに上げていこうとした際に、現場レベルでコスト意識を高く持ち、徹底する必要がある。その意識を浸透させるために、会議改革を実行。会議資料に人件費や備品代等、掛かる数値を盛り込むこと、それを部署長が自身で用意することにより、意識を変えていくという取り組みを行った。取り組み以前は、物や環境は会社が与えてくれるものだという認識が社内には存在していたが、パソコン一つにしてもお金がかかっており、大事に使わなくてはならない、そういった意識が社員に生まれたのだ。その意識が数値としても表れ同社は黒字が続き、それが奈良間専務のやりがいとなっている。こういった一つ一つの取組みが社内に根付き、「行動をすると何かが変わる」という機運が社内では高まりを見せている。
  • 夢
    一人ひとりの技術力を上げ、信頼を獲得する
    お客様からより厚い信頼を得ていくこと。それが、奈良間専務の夢である。同社は創業以来、塗装業界のパイオニアとして長い歴史と高い実績、そして常に新しい塗装技術の開発により、お客様からの評価を獲得してきた。今後はより幅広くお客様の要望に応え、より厚い信頼を得ていきたいと奈良間専務は話す。以前のように一つのことに特化し、「これはできます」、というやり方を続けるのではなく、提供できることを着実に増やし、常にお客様のニーズに対応できるようにする、そのためには、社員一人ひとりの技術の幅を広げていくことが重要だと奈良間専務は考える。社員の技術力向上のため、現在では、会社として社員の資格取得のサポートを行っているという。資格を取ることで技術力と知識を増やし、幅広い対応をできる社員を増やしていくのだ。「お客様に提供できる幅を広げ、信頼を高めていきたい」と、奈良間専務は次世代を見据え、挑戦を続けていく。
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若手が生き生きと働く
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ベテランと若手の融合
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鳥羽、伊勢への社員旅行

奈良間専務から見た、東海塗装

―奈良間専務にとって、奈良間社長はどのような存在ですか
父である、奈良間社長は私にとって、超えるべき存在ですね。入社する前は、父に対してそのように思っていなかったのですが、同じ会社の中で私が次に見据える社長というポジションに位置しているので、負けてはいけないと常々思っています。いわばライバルのような存在ですね。私はこの業界での経験や知識は奈良間社長に比べ、まだまだ未熟であることから、今後は社長のように業界内の人脈を作っていき、社長、そして父という存在を越えていきたいです。一方で、社長を超えた気になってはいけないとも思っています。そこで、私の成長は止まりますからね。周りの方々と協力しながら、自らの能力を最大限に発揮し、私自身今後も成長していきたいです。
―若手の採用に力を入れている貴社ですが、若手を採用して、変わったことはありますか
ベテラン社員が刺激を受けてより成長したと感じます。ベテラン社員が若手社員に直接教育をするようになったことが要因ですね。若手社員の積極的な言動を受け、ベテラン社員の気持ちが引き締まってきているようです。弊社の若手社員は向上心が高く、積極的に学ぶ姿勢があります。それゆえ、若手社員に負けていられない、抜かされてはいけない、そういった気持ちがベテラン社員の中に生まれ、向上心が芽生えてきたのだと思います。教育の場は、ベテラン社員が自分の仕事を改めて振り返る良い機会になっています。今後もこういった効果を生み出し、会社全体で成長していきたいですね。
―奈良間専務は東海塗装をどのような会社にしていきたいですか
私は弊社を「社員が夢を持って働ける会社」にしたいと思っています。そのために社員の意見をしっかりと聞き入れることを大切にしています。意見をしても何も変わらない会社の中で働く社員は目標や希望を持ちづらいですし、働くことに面白みを見出せないと思っています。意見を通しやすいのが中小企業の良さだと思うので、もっとこうしていこう、これがしたいと社員がいつでも発言できるような環境にしていきたいです。例えば、社員がグアムに行きたいと言ったら、社員旅行等で実現できるような会社が良いです。社員一人ひとりが夢を持って働ける会社にしていきたいと思うので、私は積極的に社員からの提案は聞いていきたいと思います。
■監修企業からのコメント

東海塗装株式会社 代表取締役社長 奈良間 力

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今回東海塗装様のお話をお伺いし、安全のための塗装というものを知りました。お客様の信頼を獲得するためというのはもちろんですが、同社においては社員様への思いも強く、とても人を大切にされているのだなと感じることができました。人々の安全のため、お客様からの信頼のため、そして社員を思い、安全文化を根付かせているのです。
■掲載企業コメント

東海塗装株式会社 代表取締役社長 奈良間 力

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取材を終えた感想
今回取材を受けて、息子である、専務の思いを改めて共有することができました。 これからも変わらず、人を大切にし、育てる会社であり続けます。 弊社は1世紀を超える企業ではありますが、この先も永続的に続く企業になれるよう、邁進してまいります。
東海塗装株式会社
代表取締役社長 奈良間 力
1872年 塗装請負業として奈良間塗工部 創立
1951年 東海塗装株式会社 設立
1962年 荏原羽田事業所開設
1967年 千葉営業所開設(平成15年再開設)
1969年 大阪営業所開設(現 大阪支店)
1973年 福島第一事業所開設
1975年 名古屋営業所開設(現 名古屋支店)
1976年 袖ヶ浦事業所開設
1994年 米国S.G.Pinney社の「Underwater Inspection
     Systems」(水中工法)を技術導入
2003年 資本金を5,045万円に増資
2006年 福島支社開設(現 東北支店)
2009年 リニューアル事業部開設
2015年 新千葉支店開設
創業年(設立年) 1872年(1951年)
事業内容 ●各種構造物、橋梁、プラント、建築物、機械等の塗装工事・設計施工管理
●「UNDERWATER INSPECTION SYSTEMS」による水没部塗膜検査及び塗膜補修
●低公害研掃材「ストロライト」の販売及び同品による研掃工事
●ドライアイスブラスト工事
●超高圧洗浄(ウォータージェット)工事
●コンクリート剥落対策工事
●下水道局 水再生センター整備工事
●防水・止水工事
●リニューアル大規模改修工事
●足場・吊足場設置工事
★特許
 吊足場及びその架設方法(特許第5097313)
 【パネル式吊足場一括吊り工法】
所在地 東京都大田区池上5-5-9
資本金 5,045万円
従業員数 82名
企業URL http://www.tkip.jp

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