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株式会社昇寿堂 代表取締役社長 瀬戸 良教

他社にはないもので勝負

株式会社昇寿堂 代表取締役社長 瀬戸 良教

1947年に産声を上げた株式会社昇寿堂。現在印刷業界に身を置く同社であるが、「印刷業界」と一口に言っても、印刷業界の中でも様々な分野がある。同社は、印刷業界の中も特殊な領域である、ビジネスフォームという分野に軸足を据え、これまで成長を遂げてきた。ビジネスフォームとは一体何か。日本語では「事務用帳票」と訳されるが、例えば納税の案内ハガキが、自治体から自宅へ届くことがある。納税の案内ハガキをどのように印刷しているか想像してほしい。1枚1枚印刷していては、どのくらい時間を要するか検討もつかない。それを同社は一定の書式を用いて、連続して印刷をすることが可能な技術と機械を有している。納税の案内ハガキは一例であるが、そのような依頼が同社には多数舞い込んでいる。現在ではビジネスフォームのみに留まらず、印刷という領域においてチャレンジを行う同社。今回は4代目社長として舵を取る、瀬戸社長にお話をお伺いした。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
  • 社風
    創業から変わらない「他社にないもので勝負」という精神
    「他社にはないもので勝負する」、それが同社の社風。それを先頭に立って体現しているのが瀬戸社長だ。「人と同じことをやらないというのが子供の頃からの性格なんですよ」、そう瀬戸社長は笑顔でお話をしてくださった。社長のイズムが社内に浸透しているからこそ形成された社風なのだ。同社のルーツを辿ると、その社風の起源が見えてくる。現社長の父であり、創業者である瀬戸昇之助は、当時、日本に存在しなかった「ビジネスフォーム」を日本に持ち込んだ第一人者。ビジネスフォームという技術は海外で誕生したものであるが故、印刷する機械や図面はすべて「インチ」で表記、作成される。尺貫法が用いられていた当時の日本において、「インチ」という概念は浸透していなかったが、その常識を覆し、ビジネスフォームの機械そのものを開発し、同社の礎を作ったのだ。創業の思いが現代にも引き継がれ、同社はその基盤を引き継ぎつつも、ビジネスフォーム以外にも、他社ができない技術で、新たな市場に参入を続ける。
  • 独自性
    独自の技術
    「社風にも繋がりますが、他社にはない技術を有していることですね」、そう語る瀬戸社長。ビジネスフォームを取り扱う会社が集う組織があるが、最盛期には250社ほどの会社が参画していたが、現在では140社ほどになっており、減少の一途を辿る中、同社の売上は安定している。ビジネスフォームという分野において成長してきた同社であるが、新しい領域にも事業の幅を広げている。スポーツ観戦チケットの複製防止や国民健康保険証の偽造防止等に用いられるセキュリティ印刷という技術や、5メートルを超える印刷物を作り出す長尺印刷という、他社にはない技術を開発し、新サービスとして導入。長尺印刷に関しては、ビジネス特許を取るに至り、誰もが知る大手企業との太いパイプを持っているという。それらは、瀬戸社長自ら海外に赴き、日本に持ち帰えることで自社の特有の技術として確立したのだ。他社にない技術で勝負する、その考えが社員に根付いていることから、同社は一丸となって常に新しい可能性を求めて躍進を続けている。
  • 展望
    強みを伸ばし、新たな領域へ
    特殊な技術を伸ばすこと、そしてデータ処理を行うこと、この2点が、同社が存続、成長していく上で重要であると瀬戸社長は語る。特殊な技術を伸ばすということに関しては、セキュリティ印刷や長尺印刷という他社にはない技術をさらに強化すると同時に、新技術の開発・導入も検討しているという。データ処理とは一体何か。同社はビジネスフォームという分野において、官公庁との取引がメインになってくるが、例えば、納税案内のハガキ等は個人情報が記載されている。これまではそういった個人情報に関しては別会社が行うことになっていたが、その領域がデータ処理と呼ばれている。同社ではそのデータ処理にも参入。2014年にはISO9001(生産管理マネジメントシステム)を取得し、データ処理を行える万全の状態を整えた。瀬戸社長が描く未来に向けて動き出した同社。印刷物が減少している現代において、画期的な取り組みを行う同社の未来は明るく拓けている。
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セキュリティ印刷の使用
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同社が印刷したカレンダー
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長尺印刷の使用例

業界にイノベーションを巻き起こす

―描く展望に向けた強化ポイントを教えてください
新規営業の強化と特殊技術を持つ人材の確保ですね。やはりいくら素晴らしい技術を有していても、お客様と出会うことがなければ売上や利益に繋がることはありません。現在は官公庁や大手企業との取引を行っていることから、売上は安定していますが、更なる成長を考えるのであれば、新しいお客様の獲得は必須事項です。東京、茨城(水戸)、神奈川(横浜、藤沢)、千葉と複数営業拠点を有する当社ですが、全ての営業所において新規開拓が重要だと考えます。また、他社にはない特殊技術を有している当社ですので、その技術を扱うことができる優秀な人材の確保も至上命題になってくると考えています。
―昇寿堂の良いところを教えてください
社員定着率が高いことです。これは誇れるポイントだと私は感じています。この高い定着率の背景には、入社時の面接が影響していることが挙げられます。私たちは面接で一切嘘をつかず、ありのままの会社の現状を候補者の方々にお話します。お互い納得した上での入社になるので、入社後のギャップは相当少ないと思いますね。また、特殊な事業を行っているということも一つの要因かもしれません。競合企業が少ないことから、価格競争に巻き込まれることもなく、素晴らしい技術を適正な価格でお客様にご提供できるからこそ、自分自身の仕事にやりがいを持つことに繋がりっているのではないかと考えています。
―瀬戸社長が大切にしている考え方について教えてください
社員が安定的な生活をできるようにしたい、それに尽きると思います。安定的な生活を実現するためには価格競争に巻き込まれるようなことはしたくないですし、当社にしかない技術に誇りを持って仕事に取り組み、お客様から信頼を得ることができるようになってほしいですね。当社は創業家が代々社長を務めていますが、「創業一族だけが」という形ではなく、働く全員が安定的な生活をできるようにしていくことが大事ですね。繰り返しになりますが、技術力、信用、それがあるからこその独自の市場を切り開き、適正な価格でビジネスをしていきたいと思います。

KEYPERSON

株式会社昇寿堂 代表取締役社長 瀬戸 良教

抜本的改革の推進

株式会社昇寿堂 深川工場  管理部 課長 田中 学

昇寿堂・深川工場に勤務する田中さん。現在入社12年目で、管理部において課長として活躍中。田中さんが担う業務は多岐に渡る。DTPという、いわゆるコンピューターを用い、印刷物の設計やデータ入力を行う仕事をメインに担うと同時に、管理部として印刷オペレーターのマネジメント業務をも担っているのだ。また、業界や同社の仕組みそのものを変えるために、抜本的な作業工程の改革に携わることや、今後訪れるであろうノウハウ継承問題にも危機感を持ち、自身が主導となり様々な取り組みを行っている。田中さんが会社を成長させていく上でのキーマンであることに疑念の余地はない。今回はキーマンである田中さんから、会社、仕事、そしてご自身について、様々なお話をお伺いした。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い
  • 入社理由
    自分の強みを生かす
    「色に携わる仕事に就きたかった」、そう語る田中さん。田中さんは学生時代、芸文美術を専攻として学んでおり、その知識を生かした仕事をしたいと思ったことがきっかけ。同社が手がけるビジネスフォームは、一般的なカラー印刷に使用される色とは異なり、特別な色を使って印刷を実施するという。入社時は印刷機を回すオペレーターとして配属になったが、社長がその思いや能力を見出し、色をも取り扱う、現在の設計業務を任せられるに至った。さらに田中さんは「大きな会社に入るより、自分の持っている力を存分に発揮できる環境で仕事をしたかった」と語る。まさに中小企業の醍醐味であろう。入社から12年が経過した現在、田中さんは自分の強みである「色・デザイン」に関して力を発揮することはもちろん、作業工程の抜本的な見直しや業務の標準化等、様々な仕事を行っている。自分の得意領域を伸ばし、そして一人のビジネスパーソンとしても成長していける同社の仕事は、田中さんにとって天職なのだ。
  • やりがい
    好きなことに携わり、業界そのものを変えていく
    「色に携わることができる」、そして「ビジネスフォーム業界の慣習や常識を自社から変えていくことができる」、それが田中さんのやりがいだ。色に携わることができる、これは上述したように、元々の興味に加え、コンピューターを使って設計をしていける、つまり現在の田中さんが行っている仕事そのものがやりがいになっている。また、ビジネスフォーム業界は、他の商業印刷と比較すると、デジタル化の動きが遅れているという。まずは自社からその流れを作っていこうと、問題点を発見しては田中さん自ら提案を行うこともあるのだ。例えば、CTPシステム(コンピューターから直接版板を作るシステム)が主流の印刷業界において、ビジネスフォーム業界、そして同社では従来手法であるアナログの手法が残っていた。そこに対して田中さんが先陣を切り、CTPシステムを導入して仕組みそのものの改革に取り組んだという。新しいチャレンジに参画して会社の未来をつくっていくことができる、田中さんの目は未来を見据えている。
  • 夢
    ノウハウの継承と業務の抜本的見直し
    田中さんが現在掲げる目標は、ノウハウの継承。中小企業が直面する問題として、属人的な技術により、特定の人がいなくなったら業務が回らなくなるということや、品質が損なわれるという現象が発生する。印刷業界にも、職人気質の文化が存在し、見よう見まねで覚えて成長していく風習があるという。同社、そして田中さんにおいては、未来に向けて会社を存続、成長させていく上で、ノウハウの継承は最重要と考えている。そのため、現在田中さんが取り組んでいるのは、業務の標準化。誰が特定の業務を担っても、同じ手順、同じ動作で作業ができ、同じ成果を出すことができるマニュアルを整えているのだ。また、現在田中さんはご自身の仕事以外にも、印刷オペレーターのマネジメントという仕事がある。業務の標準化はもちろんであるが、日々こまめにコミュニケーションを取ることで、問題点が浮かび上がってくることもあるという。問題点を一つずつ潰し、未来に向けて素晴らしいノウハウを継承していく、田中さんの挑戦は始まったばかりだ。
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ビジネスフォーム印刷
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デジタル印刷(8色ロール印刷機)
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EU企業視察でのレセプション

現場発信で、抜本的な改革を推進

―昇寿堂の良いところを教えてください
思い切ったチャレンジをしていけることだと思います。ビジネスフォームに主軸を置いている当社で、いわゆる老舗企業ですが、セキュリティ印刷や長尺印刷に取り組んだりと、ベンチャー的な気質を持ち合わせていると感じています。また、主軸であるビジネスフォームという分野においても、時代が変化していく中で、紙ベースの印刷物が減ってきていることから、私達自身も変わって行く必要があります。そのことから、「付加価値」というキーワードを大切に、「私達にしかできないこと」に尽力して日々仕事に取り組んでいる、それも当社の非常に良いところだと思います。
―田中さんから見た瀬戸社長はどんな方ですか
情報収集力に長けていると感じています。自ら海外の展示会に赴いて新しい機材を仕入れてきたり、常に情報のアンテナが立っていると思います。それがあるからこそ、セキュリティ印刷が導入され、同業他社と差別化できることにも繋がっていますし、尊敬している部分でもあります。また、社長が担う責務は非常に大きいと思いますし、いろいろと心配をおかけしていると思うので、私達がもっとしっかりする必要があると思います。その思いが一つの原動力になって、社員の一致団結に繋がっている部分もあります。これからは私達世代が主役になると思いますので、社長に心配をかけずに、当社の良いところである、新しいことへの挑戦をしていきたいです。
―昇寿堂にはどんな社員が多いですか
ユニークというか、個性あふれる社員が多いと思います。一人ひとりがそれぞれの強みを生かして仕事に取り組んでいると思います。そのことから、強みを生かし合えて、尚且つ協力もし合えるため、仕事の生産性も上がっていると感じます。そういった人の良さも相まって、当社の高い定着率に繋がっていると感じています。また、当社には女性社員が多いというのも特徴の一つだと思います。印刷業のイメージはどちらかという男社会のようなイメージを持つ方も多いですが、女性が働きやすい環境があると思います。これからは女性の管理職登用も積極的に行っていきたいと考えています。
■監修企業からのコメント

株式会社昇寿堂 代表取締役社長 瀬戸 良教

噴出し左
瀬戸社長とお話をさせていただき感じたことは、柔和な表情の奥に隠された、
次世代に会社を繋いでいくための並々ならぬ思いです。
セキュリティ印刷や長尺印刷など、他社にないもので勝負する背景には、
なんとしても会社を良い状態で次世代に引き継いでいきたい、
そういった社長の温かく、そして力強い決意を感じさせていただきました。
この度は取材のお時間を頂戴し、誠にありがとうございました。
■掲載企業コメント

株式会社昇寿堂 代表取締役社長 瀬戸 良教

噴出し右
取材を終えた感想
取材をしていただきありがとうございました。私達が大事にしていることや
これまでの歴史を振り返る機会になりました。現在当社は特殊な技術を用いて
更なる成長を遂げようとしています。やはり、次世代の人材の台頭は必要になって
きますので、昇寿堂イズムというものを私自身、社員に語っていきたいです。
株式会社昇寿堂
代表取締役社長 瀬戸 良教
1947年 4月 瀬戸昇之助個人営業として昇寿堂を創業。
           (現本社所在地)
        計測記録計用紙方眼紙各種帳票等の
        製造販売を始める。
1948年 5月 株式会社昇寿堂に改組。
1950年10月 昇寿チャート株式会社(オフセット印刷部門)を設立し、
         地図調製各種オフセット印刷を始める。
1952年12月 ビジネスフォーム印刷機国産第1号機
          完成、ビジネスフォームの製造を始める。
1955年12月 深川工場を新設。
1966年12月 深川工場建物を新改築。
1969年11月 深川工場を増改築併せて空調装置を完備し、
         品質管理の向上を進める。
1972年10月 茨城地区の販売拠点として水戸出張所を開設。
1979年10月 水戸出張所を水戸営業所に改称。
1981年11月 千葉地区の販売拠点として千葉出張所を開設。    
1983年12月 深川工場事務所倉庫を増築深川営業所を開設。    
1986年10月 神奈川地区の販売拠点として横浜出張所を開設。    
1987年12月 埼玉地区の販売拠点として埼玉出張所を開設。     
2008年 2月 デジタルプレス室を新設。
2009年12月 神奈川地区の販売拠点として横浜出張所を開設。  
創業年(設立年) 1947年
事業内容 ・セキュリティ印刷・加工
・特殊印刷・加工
・デジタル印刷・加工
・フォーム印刷・加工
所在地 東京都中央区新富1丁目8番6号
資本金 4,000万円
従業員数 68名
企業URL http://www.shojudo.co.jp/

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