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株式会社ナガセ 代表取締役社長 長瀬 透

「技術・営業・パートナー」
 三位一体の強み

株式会社ナガセ 代表取締役社長 長瀬 透

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「金属加工のデパート」として、板金加工技術において特殊な絞り加工であるヘラ絞りを武器に、エレクトニクス・電気部品・医療機器・航空機などの多岐にわたる部品製造と組立加工を行ってきた同社。技術・営業・パートナーという三位一体の強みを生かし、同業界にその名を轟かせている。同社は大戦の爪痕が残る1945年に、釜や鍋をヘラ絞りでつくる会社としてスタートした。そんな同社を多くの大手企業と直取引をする企業へと成長させたのが、お客様からの要望に全て「できます」と答える攻めのスタイルで次々と活路を切り開いてきた2代目社長である長瀬社長だ。今回は長瀬社長に、同社が築き上げてきた伝統とこれからの挑戦、そして次世代への事業承継について伺った。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
  • 社風
    個性を認め、美点を伸ばす社風
    同社の技術を支えるのは十数名の職人達であり、彼らがいかに成長し、前向きに働けるかということは、同社にとって、とても大切なことである。職人には、それぞれに強いこだわりがあり、自分の腕に自負があるため、社長が上からガミガミと指摘しても心に響かないのが現実だ。そこで、職人気質の強いナガセの社員がイキイキと働くためには、一人ひとりの個性を認め、その人の美点を発見し、それをとことん伸ばすことが大切であると長瀬社長は考えており、その雰囲気づくりを社長として率先して取り組んでいる。社長から「おはよう」と必ず挨拶をして、「~さん、ここがすごく良くなったね!何かあったの?」と一人ひとりに声をかけると、認められた社員の顔がぱっと明るくなる。「ダメダメダメと言っていると本当にダメになってしまう。その人の美点をいかに見出して褒めてあげるかが重要なんです」と語る長瀬社長。このような雰囲気があるから、ナガセの職人は3本の指に入るとも言われる高い技術を伸ばし、生き生きと働けているのだろう。
  • 独自性
    「技術・営業・パートナー」 三位一体の強み
    板金加工技術において特殊な絞り加工であるヘラ絞りを武器に、電気部品・医療機器・航空機などの多岐にわたる部品製造と組立加工を行ってきた「金属加工のデパート」である同社。絞り加工には、その特殊な製法ゆえ、機械には代行できない熟練技術、いわゆる手作業が要求される。同社が創業から70年間磨き上げてきた絞り加工の技術力は業界で三本の指に入るとまで言われることもあり、同社の大きな強みとなっている。一方で、殆どのヘラ絞り加工の会社は職人気質故に、営業に力を入れず、自社の技術で対応できない仕事はしない「待ちの姿勢」を取ることが多い。しかし同社においては、優れた技術力を持ちつつ、長瀬社長自身が「同業他社でこんなにしっかりとした営業部隊をもっているところはない」と自信を覗かせる営業部隊がある。これに加え、同社では対応することが難しいお客様の要望も、パートナーシップを結ぶ協力会社のネットワークを活用することで対応できる体制を構築するなど、三位一体のビジネスモデルを持っている。
  • 展望
    世界戦略と事業承継
    これからは世界も見なければならない。まだまだ世界には需要があると、海外目線で事業戦略を語る長瀬社長。日本の企業として何ができるかという観点で世界をとらえた世界戦略が中小企業にも必要だ。「世界にはインフラ整備ができていない地域がまだ沢山あります。この市場をナガセが取っていきます」ナガセも世界へ打って出ると語気を強める長瀬社長。そして、70年を迎えた同社を100年企業にするのは次期社長である長瀬専務を中心とした次世代チームだ。長瀬専務に大切にしてほしいのは、長瀬専務の自身の石垣を作ることだと長瀬社長は語る。「人は石垣人は城、といいますが、しっかりとした石垣を作らないと城も立ちません」会社を引き継ぐ上で、長瀬社長が築いた石垣にただただ乗るのではなく、自分色の会社をつくってほしいと期待を見せる長瀬社長。「軸となる経営理念からは外れずに、長瀬専務なりの感性を持って、これからの時代のナガセを経営してほしい」と長瀬社長は次世代のリーダーへエールを送った。
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アルミ製キャンドル置
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元気なものづくり300社に選ばれる
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チタン製ぐいのみ

長瀬社長が語る、未来に伝えたいナガセイズム

ナガセがここまで成長できた秘訣を教えてください
身の丈に合わない仕事もどんどん受け続けてきたのが、ここまで成長できた理由です。他のヘラ絞りの会社が仕事を貰えるのをひたすら待っているのとは全く対象的に、私達は攻め続けました。お客様から、「すぐに御社ができないことはわかっているけど、やりますか」と、新たな仕事の声かけを頂いたら、全て「何とかします」と答えて、それに応じて成長してきたんです。職人はいない、道具はない、ノウハウもない、という何もないところからのスタートが多かったのですが、迷わず即決即断で進めていきました。大変でしたが、これを繰り返してきたので、現在ではヘラ絞りだけでなく、「金属加工のデパート」として、金属加工全般をカバーできるようになりました。
長瀬社長が大切にしている考え方を教えてください
私の父から受け継いだ考え方を、5つの帝王学という形でまとめ、常に心に留めています。少しだけ紹介すると、1つ目の帝王学は、「誰よりも率先してやること」です。父はどの社員よりも早く、朝の3時から仕事場に出ていました。「率先してやるからこそ、その人の後に他の人達もついてきて、いずれ彼らがかけがえのない仲間になりますよ」、という意味が込められています。時代が移り変わりゆく中で、変えなければいけないものと、変えてはいけないものがあります。会社においては、事業は変えなければいけないものだけれども、理念は絶対に変えてはいけません。この帝王学も1つの理念と言えるものですから、変わることなく、今後も引き継いでいって欲しいですね。
ナガセを次世代に承継していく上で大切にしたいことは何ですか
私は、事業承継はバトンタッチだと考えています。ここでポイントになるのは、バトンタッチは点ではなく、線で渡していくということです。次世代の社長が社長に就任して、いきなり「後は全部よろしくね」としてしまうのではなくて、ある程度の期間は、フォローして、スムーズに引き継ぎができるように支えていくのが大切です。ただ、ここで大切なことは、前社長はあくまで「フォロー」する立場だということです。社長のやることなすことすべてに首を突っ込んで、干渉してしまったら、フォローにはなりません。手綱を握って、右か左かを決めるのは社長の仕事ですから、大事なここぞという時に、社長が周囲の人間に相談できることが必要で、その中に前社長がいることが大切だと考えています。

KEYPERSON

株式会社ナガセ 代表取締役社長 長瀬 透

体全体でものづくりを楽しむ

株式会社ナガセ 第一製造部 主任 阿部 智之

ヘラ絞り、板金、溶接、検査の4部門からなる同社において、一番最初の工程がヘラ絞りだ。ヘラ絞りとは、高速回転する金属へ、加工したい金属をぶつけて、伸ばす加工をする工程のことだ。このヘラ絞りの精度が甘いと、後工程の作業がすべて台無しになってしまうため極めて重要な工程である。そのヘラ絞りの重責を、職人の世界ではまだまだひよっこ扱いされてもおかしくない10年という経験で、主担当として担っているのが阿部さんだ。創業当時から同社を支えてきた熟練の職人達が引退をしていく中で、そのバトンを引き継いだ阿部さんは、日々ヘラ絞り加工に向き合いながら、入社してくる若き職人の卵達を先輩として指導している。そんな阿部さんのやりがいや夢、そして後輩達への想いを伺った。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い
  • 入社理由
    ヘラ絞りという職人の世界で、ものづくりを深く味わう
    工業高校に通い、ものづくりを学んだ阿部さん。せっかく学んだものづくりに少しでも携わる仕事に就きたいと就職先を探していると、「ヘラ絞り」という、工業高校においても聞いたことがない仕事があることを知った。体全体を使いながらものづくりに打ち込む職人達の姿を見て、やってみたいと考えた阿部さんは、自動機械よりも職人技が要求される"手絞り"を中心に扱う同社へ入社することを決意した。まさにものづくりの職人世界へ飛び込んだ阿部さんだったが、当初は体全体を使って微妙な角度や力加減をコントロールする同社の手絞りの仕事の難しさに戸惑う場面も多かった。しかし、創業の時代から同社で腕を磨いてきた熟練の職人達の技術を必死で盗み取って学んだ阿部さん。「何もできない自分から、色んなことができるようになって、楽しかったですね」今では体に染みついた感覚で、体が自然と動くのだという。同社に入社すれば、阿部さんのように、ものづくりに携わる職人として活躍することができるだろう。
  • やりがい
    体全体でものづくりを楽しむ ヘラ絞りにおける手絞り加工の魅力
    「体全体でものづくりを楽しんでいるんです」阿部さんは同社の仕事の魅力をこのように表現した。機械に頼り切るわけでもなく、目が疲れそうな細かな手先の作業でもなく、ヘラ絞りの"手絞り"はまさに体全体を使って金属の重心や角度をコントロールし、1分間に1600回転する金属に、絞りをかけたい金属を当てることで加工する技術である。神経を研ぎ澄ませ、全身全霊をぶつけるからこそ、疲れもあるが、それよりもやり遂げた時の達成感は大きいものとなる。加えて、非常に繊細な重心や角度のコントロールが要求されるため、職人のレベルによって完成物の品質は大きく異なってしまう。その良し悪しは一目瞭然のため、できていない時はとても悔しい思いをするが、上手くいくと大きな自信になり、「次はもっと上手くやってやろう」という充実感につながる。ものづくりの楽しさを、体全体で感じ取ることができるヘラ絞りの手絞り加工の仕事。ものづくりへ少しでも興味がある方は、一度門を叩いてみるのはいかがだろうか。
  • 夢
    一番の職人として、そして、一人の先輩として
    「一番になりたいな、という気持ちはあります」優し気な阿部さんの眼光が、一瞬鋭くなる。せっかく職人の世界へ飛び込んで、努力を積み重ねて一人前の職人へと成長することができたのだから、周囲の誰からも「あの技術だったら阿部さんが一番だよね」と認められるくらいには、上を目指さないともったいない。「常に終わりがないとも思っていますので、70歳ほどで完璧なベテランになることができていたら良いですね」と語るほど奥深い世界で、阿部さんは研鑽を積んでいる。また、「一人ひとりがもっと高い水準のプロとなり、お互いをカバーし合うことができたら、より良い仕事ができると思います」と会社の未来像も描いている。最近では、若い後輩もたくさん入社してきており、昔の自分を思い出すという阿部さん。「まずは彼らに、ヘラ絞りの楽しさを教えていきたいですね」自らの、そして会社の輝かしい未来を築くために、阿部さんは今日もヘラ絞りと、そして未来の職人と向き合う。
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東中神ポケットパークオブジェ
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職人技のヘラ絞り加工
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バフ研磨の様子

阿部さんに聞く、ナガセのこと、後輩への想い

御社のヘラ絞り業界における特徴を教えてください
ヘラ絞り加工において、3本の指に入る高い技術力を持っていると言っていただくこともありますね。
やはり70年も技術を積み重ねてきた結果でしょうか。そして、ヘラ加工の中でも、手絞りを中心に扱っているということも特徴だと思います。 手絞りと自動機を比べると、お客様の要望に、細かく対応できるのが手絞りの良さですね。まずは手絞りの方が小回りが利きますよね。自動機の場合は色々試したくとも、プログラミングなどをしなければ、それ通りには加工することはできませんが、手絞りなら職人に「こうしたい」と言えばそれですぐに加工できてしまいます。また、手絞りの方が繊細な加工ができるので、薄い、繊細な素材は手絞りの方が良いですね。
後輩へアドバイスをお願いします
高校を卒業して一気に社会人となると、私もそうでしたが、右も左もわからないですよね。職人の世界は、 厳しいこともあるかもしれませんが、我慢強さと向上心があればどうにでもなっていくと思います。後輩へのアドバイスとしては、緊張している中でも、色々と先輩に話を聞きにいってほしいですね。例えば休憩中に、最近の若い子の中には、1人で携帯ばかりいじって過ごしている方もいますが、話しかけづらいと思っても話しかけたりとか、そういう一歩を踏み出してほしいですね。わからなくなったら、先輩の方が知識も経験も上なわけですから、しっかりとそれを吸収して、どんどん伸びていってほしいなという思いでいます。
後輩と接する上で意識していることは何ですか
私が入社したころは、近しい年齢の人はほとんどいませんでした。なので、入社してから2,3年後に若い後輩が入ってきてくれたことは、とても嬉しかったことを覚えています。ほとんど何も知らない状態で入社してくるので、きちんと教えてあげたいな、と思っています。後輩に接する上でで意識していることは、必要以上に厳しくしすぎないようにすることですね。「何でできないんだよ」と怒るのではなくて、できるようなるためにはどうすれば良いのかと考えるようにしています。あとは、職人の中には、口数が少なくて寡黙な方も多いのですが、私は皆で楽しく仕事をすることを非常に大切に思っているので、後輩とも一緒に食事に出かけたりなど、コミュニケーションを積極的にとっていきたいと考えています。
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■監修企業からのコメント

株式会社ナガセ 代表取締役社長 長瀬 透

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今回取材させていただきました、株式会社ナガセは、日本でも有数のヘラ絞り加工技術を持つ会社。同社の職人の熟練された加工技術は、最新の機械をもってしても再現することはできないそうです。記事に使われている阿部さんの写真は、実際にヘラ絞り加工を行っている写真ですが、撮影の際に直接拝見したヘラ絞りの職人技は、まさに圧巻でした。100年企業へ向けて高みを目指し続ける同社に、今後も目が離せません。
■掲載企業コメント

株式会社ナガセ 代表取締役社長 長瀬 透

噴出し右
取材を終えた感想
取材を通じて、私の大切にしているイズム、考え方、ポリシーを改めて社外、そして社内へ発信することができ、大変いい機会でした。この記事を通じて、より多くの方に弊社の魅力を感じてもらうことができれば幸いです。
株式会社ナガセ
代表取締役社長 長瀬 透
1945年 東京都昭島市にて創業
1968年 有限会社長瀬絞工場に組織変更
1980年 工場を武蔵村山市に移転
1985年 板金加工工場を増設
1998年 株式会社ナガセに商号変更
2011年 本社工場の隣接地を購入し敷地2300坪
      となる
2013年 関西営業所開設
創業年(設立年) 1945年
事業内容 ・ヘラ絞り・板金加工を軸とした、エレクトロニクス・電気部品・医療機器・真空機器・農機具・航空機・通信機器・照明器等の部品製造、組み立て
・ウィルス除菌&消臭のビージア水等の販売
所在地 東京都武蔵村山市伊奈平3-21-3
資本金 1,200万円
従業員数 60名
企業URL http://www.nagase-shibori.co.jp/

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