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株式会社西原屋 代表取締役 伊澤 誠一

創業の精神を 後世に伝えていく

株式会社西原屋 代表取締役 伊澤誠一

社員食堂の運営や弁当の仕立て・販売をメインに行う西原屋は、慶応2年、幕末の動乱期に、千葉県館山市に住む1人の板前職人からその歴史の幕を開ける。創業者である板前職人の生き様そのものが、代々受け継がれる創業の精神。その精神は、文章や映像を使って受け継がれるのではなく、口伝によってのみ代々伝えられているという。先代から、何度も何度も創業者の生き様を聞き、自分の口で後世に伝えられるようになる、つまり創業者の生き様の語り部になることが、同社社長に就任する上でのミッションである。創業140年を超えた現在、6代目を襲名したのが伊澤社長。時代の変化が激しい昨今においても、思想は決して曲げず、時代に合わせた手法を用いることで、同社の成長の舵取りを行っている。これまでを、そして未来を熱く語る伊澤社長よりお話を伺った。

伝統の継承と、未来への挑戦を可能にする革新企業の本質
  • 社風
    現場主義が生み出す、世代を超えた繋がり
    「風通しの良い会社」、「働きやすい会社」、一般的な表現を用いるのであれば、そのような言葉が適切であろうか。しかしながら、その一言にまとめることはナンセンスであると感じるほど、独特の社風・環境が同社には存在している。取材実施に際して同社を訪問、そこで目に飛び込んできたのは、働く社員が、世代を超えて親密に接する光景である。その背景にあるのは、代々受け継がれてきた「現場主義」という考え方。社員食堂の運営や弁当の仕立て・配達をメイン事業として営む同社であるが、専務や常務、取締役、必ず全員がこれまで現場を経験していること、役職者になっても必ず食堂や店舗の運営を担うという特徴を持っている。これは「現場の気持ちが分からなければ、指導することはできない」という考えに起因しており、経営陣が今でも現場に密着しているのだ。だからこそ現場の最前線で働く社員の気持ちを理解した上でのコミュニケーションを取れることができ、世代を超えた繋がりが生み出されているのだ。
  • 独自性
    お客様のみならず、業者様を大事にする
    「お客様を大事にする」、経営を行う上での基本中の基本であるが、同社はそれだけにとどまらず、仕入れ先である業者様をとても大事にするという哲学を持っている。「接する態度」という観点ではもちろんのこと、ビジネスの観点においても、業者様に対して「より早くお金を回収し、支払いはできるだけ遅くする」という考え方が経営においては一般的であるが、同社では、業者様への支払いに対して、迅速且つ現金での支払いを基軸としている。これは、「売っていただいているからこそ、西原屋が存在している」という考え方が同社のベースにあるからなのだ。この考え方のルーツ、それは140年前に遡る。創業者の板前職人は江戸に赴き、髪結い(床屋)への訪問を繰り返した。散髪後に本来は捨てるはずの髪を仕入れ、それを生まれ故郷まで持ち帰り、農家に対して農作物の肥やしとなるよう髪を無償で提供する代わりに、米や魚をいただき、それを自身の商売で使用する食材にしていたのだ。現代においても、想いはそのままに、そしてやり方は現代に合わせ、仕入先である業者様を大切にしている。
  • 展望
    想いを紡いでいく
    「次世代へ思想を継承していく」、それが未来を創っていく上での礎であると伊澤社長は考えている。伊澤社長が就任した際の所信表明では「先代のやり方を踏襲する」と全社員の前で言い切った。伊澤社長自身、同社の特徴として「気長に真面目にコツコツとやってきたから今がある」という見解を示しており、突拍子もないことをするのではなく、同社が受け継いできた思想を代々引き継いでいくことが、同社が同社である所以であり、成長の根幹になると考えている。やり方は時代に合わせれば良い。経営者として思想レベルを常に高く持ち、それを伝えていくことが重要。伊澤社長のお話をお伺いすると、その想いがヒシヒシと伝わってくる。例えば、同社が運営する食堂や弁当における味付け。「どんな想いでその事業をはじめたのか、その想いは踏襲する必要がある。しかし、物質は時代のニーズによって変えていく必要がある。それができない老舗は失敗する」と伊澤社長は語る。絶対に曲げてはならない思想を次世代へ引き継ぎ、やり方は後に続く者が考え実行する、そんな未来を伊澤社長は描いている。
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西原屋の社員食堂
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西原屋のパーティーメニュー
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徹底した品質管理

後世に思想を伝えていくことが、社長就任のミッション

-西原屋の人材育成方針について教えてください
当社では、「大きな裁量のもと、様々な仕事を任せることができる人材」を育成していきたいと考えています。言わば、経営者のようなイメージですね。ここでいう経営者とは、何も自分で会社を持つということではなく、経営できる思考と方法を社員には学んでもらいたいという意味です。そのことから、当社では社員食堂や弁当販売の店舗に関して、独立採算制を取っています。そういった環境で、挑戦し、失敗し、そして成長するというサイクルを作っていきたいですね。独立採算制を敷き、店長に大きな裁量を与えていることから、店長色の強い店舗がたくさん存在していることも当社の特徴の一つです。
―先代の考え方を踏襲するとお伺いしましたが、最も印象的な考え方を教えてください
「作ることができない人間は売れない」という考え方ですね。そのことから、料理人ではなく、店長を目指す社員であっても、キャリアステップの過程で調理に携わってもらうようにしています。私自身も調理を経験していますし、現経営メンバー全員が調理に携わり、今に至ります。私たちは食に携わっているわけですから、この考え方が一番印象に残っていますね。調理方法も分からないものを自信を持って薦められるわけがない、真理だと思います。それが当社の大事にしている「現場主義」という考え方にも繋がっており、現場の気持ちを理解できる所以だと思っています。
―社員が長く勤めていることが特徴だと思いますが、その秘訣を教えてください
もちろん、現場の声を大事にしているということはありますが、人間的な繋がりが大きいと私は感じております。例を挙げると、地方から出てきた若い社員をよく自宅に招いて食事をしたりもしていますし、家族ぐるみの付き合いもありますよね。長く勤めている社員の言葉を借りると、「先代には育ててもらった、現社長には活かしてもらった、後継者には恩返しをしたい」と言って、3代に渡って勤めている社員もいます。また、女性社員が結婚、出産をしても、当社の場合は戻ってきてくれるんですよ。それは、やはり仕事という繋がりを超えた人間的な繋がりがあるからだと思います。

KEYPERSON

株式会社西原屋 代表取締役 伊澤 誠一

食を通じて、健康の一助を担う

株式会社西原屋  店長兼管理栄養士 櫻井祐子

現在、老人ホームに設置された食堂の店長としてその手腕を振るう櫻井さん。櫻井さんは西原屋における最年少店長に抜擢された経歴を持つなど、その実力は確かなもの。現在は、責任者として食堂の在庫管理など、いわゆる責任者としての責務を果たし、また「管理栄養士」として活躍している。病気を快全の方向へ運ぶための栄養指導や元気な方が引き続き健康を保っていくためのサポートを行うために、栄養のバランスを考えると同時に飽きのこない食事提供を行っているのだ。そうした、管理栄養士としての知識を最大限に活用し、同社の発展に寄与する櫻井さんに、会社のこと、仕事のこと、将来の夢など、様々な話を伺った。

伝統の継承と挑戦の未来を担う社員の思い
  • 入社理由
    社長の”人”に対する想い
    「最終的な決め手は社風です」と語る櫻井さん。学生時代に管理栄養士として働きたいと考え、就職活動の際には幼稚園、病院、スポーツジム等で働くことが選択肢としてあった中で、出会ったのが同社。管理栄養士として引く手あまたの状況、複数の選択肢がある中で同社に入社を決意した決め手は、面接の際に感じた社風。伊澤社長と面接を行った際に、「〇〇店舗の〇〇さんが結婚をしたんだよね」、「〇〇さんの長男が生まれたんだよね」等、会話の節々で、社員一人ひとりを気にかけてくれていることが伝わってきたという。また、面接も一般的な形式ばったものではなく、会話をベースにしたものであったことから、自分自身も本音で話すことができたのだ。社長と社員の距離が近い会社、社長が人情に熱く義理堅い、社長と面接をする中で申し分なく社風を知ることができ、この会社しかないと思い入社を決めたのだ。
  • やりがい
    「美味しい」というお客様の言葉
    櫻井さんのやりがいは、自身が勤める老人ホームにご入居されている方に「美味しい」そうと言っていただけることだ。単純に美味しい料理を作るだけならできる、しかし、老人ホームに入居している方々は、塩分等、食事制限があることから創意工夫を凝らさなければ美味しい料理は誕生しない。また、毎日飽きがこない料理を作ることにも頭を使う。なんと、櫻井さんは数百種類のレシピを考案して入居者に提供しているとのことだ。そういった過程を経て、入居者からいただく「美味しい」という一言は何にも代え難い喜びだという。お客様の満足をさらに向上させていくためには、日々のレベルアップは必要不可欠であることから、同社の管理栄養士が集い勉強会を行う機会を設けていたり、外部研修への参加も積極的に行っている。日々の鍛錬の賜物が入居者の言葉として返ってくるのだ。
  • 夢
    職場の雰囲気を作り、より働く安い環境へ
    「みんなで楽しく働くことができる職場環境を作っていきたい」そう語る櫻井さん。入社時から現在の老人ホームで働く櫻井さんは、同じ職場で共に働く仲間の支援を受けて大きく成長できたことから、「職場環境」の重要性を認識。現在26歳という年齢で周囲はパートの方も含めて自身の親世代の年齢の方々が多いという。そういった方々の支えがあって今の自分がある、今でも迷った時には相談に乗ってくれる、そのことから、全員がよりイキイキとよりやりがいを持って働くことができる職場を形成していくことを重要な役目であると櫻井さんは考えているのだ。管理栄養士として入居者の健康を考えることはもちろん、上に立つ者としてどんな雰囲気作りをしていけるか、栄養という専門分野のプロフェッショナルとして、そして店舗をまとめるリーダーとして、櫻井さんの挑戦は続く。
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伝統の味を守り続けているおせち
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入社式
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愛される西原屋のおせち

管理栄養士として西原屋へ貢献を

-管理栄養士を目指した理由を教えてください
「料理を通して人の健康に携わる仕事をしたい」、そこに興味を持ったことがきっかけですね。元々料理に携わる仕事がしたいと考えていたのですが、高校時代、担任の先生から「管理栄養士」という職業があることを教えていただき、興味を惹かれました。管理栄養士になるための知識や技術を学べる大学へ進み、病院における実習の際に、指導教官を務めた管理栄養士の方が「自分の作った料理で、患者さんが回復していくってすごいと思わない」と仰っていました。自分の作った料理で人の健康に携わることができる、自分のやりたいことができることを実感しましたね。
―櫻井さんが感じる西原屋の強みはどのようなところだと思いますか
やはり「味付け」だと思います。当社はお寿司屋さんとして創業し、社員食堂の運営や弁当販売、そして私が働くメディカル関係における店舗運営を担っていますが、本当に料理の味付けが美味しいと思います。例えば弁当の味付け一つをとっても、私が勤務している老人ホームでもぜひ取り入れたいと思う弁当が多々あります。ちなみに私はおせちに関して、毎年当社のものを購入するほどです。140年を超える長い歴史がある当社ですが、ここまで存続、成長してこれた理由の一つには「味の良さ」があると思います。そのことから、私たち若い世代も後世にもしっかりと伝えていきたいと思います。
―今後どんなことにチャレンジしていきたいと考えていらっしゃいますか
管理栄養士であるからこそ、私はより多くの人に"食"について知識を得ていただきたいと思っています。何を食べるかによって、その人の健康状態が良くも悪くもなりますし、病気にかかることを未然に防ぐこともできます。特に問題に感じているのは子供への食の指導です。実は、子供の時の食事スタイルは大人になっても殆ど変わることはありません。つまり、子供の時にどういう食の指導を受けたかによって、大人になってからの食事スタイルも決まってしまうのです。そうしたことを親が子供に教えられるようにもしていきたい。だから、私は、"食"という知識をより多くの大人や子供に知ってもらうための指導や教育を将来的に行っていきたいと考えています。
■監修企業からのコメント

株式会社西原屋 代表取締役 伊澤 誠一

噴出し左
これまで受け継がれてきた創業の精神を熱くお話してくださった伊澤社長。 お客様のみならず業者様をもとても大事にする、そして、西原屋で働く社員のことを 誰よりも考えていらっしゃるその姿勢に大変感銘を受けました。 伊澤社長の思想はこれから先も途切れることなく、DNAとして後世に伝わっていくと強く感じます。
■掲載企業コメント

株式会社西原屋 代表取締役 伊澤 誠一

噴出し右
取材を終えた感想
取材を受けている内に、会社は「人」 人間的な繋がりが今日の西原屋の礎に成っていると感じました。次は200年存続へと繋がる人材が多く集う会社にしたいと切に願っております。
取材ありがとうございました。
株式会社西原屋
代表取締役 伊澤 誠一
1866年 千葉県館山市北条1874にて創業(すし業)
1953年 株式会社改組(すし専門店)
1957年 総合食堂となり、すし・洋食・中華・喫茶併設
1963年 千葉県議会食堂開設
1968年 船橋市習志野台「日大一高校内食堂」開設
1969年 習志野市「日立精機(株)社内食堂」開設
1971年 東京都小岩駅前扇屋ビル4階「レストラン西原屋」開設
1972年 丸の内三菱電機ビル地階「グリル西原屋」開設
1973年 第28回千葉県若潮国体に於いて「選手村食堂」受託 
    天皇陛下、皇后陛下、皇太子殿下、皇太子妃殿下の供食の光栄に浴す
1981年 「船橋市立船橋高校校内食堂」開設
1991年 埼玉県草加市「(株)神戸製鋼所谷塚寮食堂」開設
2003年 東京都千代田区「東京宝塚劇場にお弁当の納入」開始
2010年 第65回国民体育大会「ゆめ半島千葉国体」において
    千葉市弁当調製施設として供食奉仕
2013年 千葉県千葉市「幕張国際研修センター内レストラン」開設
創業年(設立年) 1866年
事業内容 1、産業供給事業
  ・企業、学校、官公庁における食堂の経営
2、供給弁当事業
  ・企業向け仕出し弁当の製造販売
  ・観劇・会議・催事用仕出し弁当の製造販売
3、専門店事業
  ・ゴルフ場内レストランの経営
4、介護供食事業
  ・介護施設における食堂の経営
5、パーティー、出張料理及び企画演出
6、進物用食品の製造と販売
所在地 千葉県千葉市中央区登戸1-13-21 シティファイブB棟2F
資本金 1億円
従業員数 320名
新卒・中途比率 6:4
男女比率 3:7
平均年齢 42歳
企業URL http://www.nishibaraya.co.jp/index.html

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